日本の住宅の内装の壁、天井はほとんどが”壁紙”によって仕上げられています。そんな毎日のように目にする“壁紙”ですので、家に不具合が起きればいち早くそのことを知らせてくれる部分でもあります。
しかし壁や天井に隙間やヒビ(一般的にはクラックと言います)等が入っているのを見つけてしまうと、一体壁の裏側で何が起きているのが不安になるのは当然の事です。ましては新築やリフォームの直後にそのような事態が発生すれば施工不良や重大な欠陥を心配するのも無理はありません。しかし少し知識があればそんな不安も軽減でき、冷静に状況に対応することができます。今回はそんなお話です。
症状をケース別に分け、多く見受けられる原因を紹介していきます。
① 壁の隅っこ(入隅と言います)や、壁と天井の境目に生じる隙間のようなクラック
危険度:低
原因:木材の乾燥による収縮によるもの
補足:この症状は特に木造の住宅で多く見られます。鉄筋コンクリート造のマンションでも壁や天井の骨組が木材で作られている場合には同じような症状が発生します。
新築やリフォームの竣工後、木材の水分は数年かけて乾いていくため、徐々に自身の体積を減らしていきます。従って建物が完成した後も木材はその体積を減らしていき、その歪みが壁紙の隙間として現れるのです。よってこの症状は新築直後に現れやすく、数年かけて収まっていきます。
建物にとって許容範囲内の現象であり、大きな問題につながるケースはごく稀です。また空いた隙間は比較的容易に補修することができます。(下記簡単な補修方法を参照)
② きれいな直線状のクラック
危険度:低
原因:壁紙工事の際ののりの充填不足
補足:壁紙一枚はおよそ90センチ幅のロール状になっており、これを壁および天井に並べて貼ってい行きます。その継ぎ目近辺ののりの充填が甘いと写真のようなクラックや剥離を起こします。従ってのりの再充填により容易に補修することができます。
ただし、④(危険度:高)に該当する原因の場合のありますので注意が必要です。
③ 窓枠や建具の角から放射状に伸びるクラック
危険度:低~中
原因:壁紙施工時の破れ(危険度:低) 窓、建具の開閉による振動(危険度:中)
補足:壁紙施工時、窓や建具の周りはその形通りに切り込みを入れながら貼っていきます。そのため切りすぎたりが原因で角から放射状に伸びるクラックとして残ってしまうことがあります。よって簡単な補修で直すことができます。(下記簡単な補修方法を参照)
別の原因として、窓や建具の開閉による振動が原因の場合があります。施工不良によるものかは判断が難しい部分ですので、施工会社へ相談することをお勧めします。
④ 稲妻状のクラック
危険度:低~高
原因:地震や強風による影響(危険度:中) 地盤沈下や施工不良による建物“歪み”による影響 (危険度:高)
補足:建物はその構造特性上、地震や台風、車及び鉄道の振動により微量に変形、振動しています。これは木造はもちろんのこと鉄筋コンクリート造、鉄骨造、耐震性の高い建物においても共通して言えることです。その変形、振動は内壁にまで伝わり、壁紙をちぎるような力が働くため、稲妻状のクラックが発生するのです。特に面積が大きな”階段”や”吹き抜け”にそのようなクラックは発生しやすいです。(図参照)この微量な変形、振動は止めることができないため、このようなクラックが発生した場合は簡単な補修をしても、また同じようなクラックが入ってしまいます。壁紙を補強するか、建物の変形を吸収できるような箇所を新たに設けることが必要になります。建物にとって致命的な状態ではないので危険度は低いですが、解決には手間がかかるのが厄介です。
むしろ問題なのは稲妻状のクラックがシャーペンの芯が入るくらい広くなっていたり、一直線でなくあらゆる方向へ伸びている場合です。何らかの原因により建物全体に歪み、傾きが起きている可能性が考えられます。早急に施工会社へ相談することをお勧めします。
⑤ 茶色い斑点模様な浮き出ている
危険度:高
原因:水漏れ、雨漏れや結露
補足:クラックの話ではないのですが、茶色い斑点は壁、天井を形成する石膏ボードを止めているビスが水分により錆びている可能性があります。斑点模様の周りを指で押してみて、フカフカするような感触があれば水分の進出が進んでいる可能性が高いです。早急に処置を行いましょう。
⑥ 5mm~10mm程度の大きさのへこみや膨らみがある
危険度:低
原因:壁紙施工時の下地処理不足等
補足:壁紙を貼る前にはビスなどの凹凸をなくすため、パテ処理を行います。そのパテ材の固まりが残っていたり、逆にパテ処理が甘かったりすると、その部分がピンポイントにへこんだり、膨らんだりします。比較的簡単に直すことができますが、ご自身でやるのは難しいため、補修依頼をしましょう。
番外編 窓枠や扉の表面がぺりぺりと剥がれたようなに透明な膜状の物がついている。
危険度:低
原因:壁紙施工時ののりが付着し、乾いたもの
補足:壁紙は裏面にノのりを塗ってから壁に貼り付けていくので、そののりが窓枠や扉に触れてしまうと、時間が経過して乾いてきたときに写真のような膜状の物となって現れてきます。固く絞った雑巾でふき取ると取り除くことができますが、発生個所が多数の場合は施工業者に再清掃を依頼した方が良いでしょう。
簡単な補修方法
小規模な隙間やクラックであれば写真のような隙間埋め材を使って、ご自身で補修することができます。ホームセンターで販売しており、色も豊富にございます。水性なので扱いやすく、乾くと固くなる性質を持ち、隙間やクラックに直接充填し、固まる前にはみ出た分をふき取れば完了です。
以上、特に発生傾向が高い症状をまとめてみました。大まかな原因がわかれば漠然とした不安も軽減されるのではないでしょうか?しかし上記の症状に似ていても複合的な原因が重なって発生しているケースもございます。もし症状に気づきましたらお早めに永和建業までご相談ください!。
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