家にとって必至のパーツそれは“扉”
扉はプライバシーの確保、セキュリティーの確保、照明の制御、空調のコントロール、はたまた家のデザインを決定づけるアイテムとして。。その役割は多岐に渡ります。毎日使う物なので、使い勝手が非常に大切です。とは言えどのような扉が生活環境において最適か、イメージして選択するのもなかなか難しいものです。「こうじゃなかった!」と思っても交換は容易ではありません。そこで扉にはどのような種類があり、どのようなメリット、デメリットがあるのかご紹介したいと思います。
まず最も基本となる2種類の形状の扉をご紹介します。建物で使用される扉は全て、この2種類から派生した形状と言っても過言ではありません。
①片開き扉
どんな扉?:最もオーソドックスな形状です。左もしくは右の軸を中心に、回転することで開閉します。
メリット:およそ90㎝程度の幅の壁があれば取付ができるため、様々な場所に設置が可能です。
デメリット:開閉時には扉の軌跡上に物を置くことができません。
使える場所:玄関、各種部屋の出入り口、収納等
意外と知られていない使い方:子供部屋などに採用すると、半開きにすることで通風を確保しつつ内部のプライバシーを保つことができる場合があります。
②引き戸
どんな扉?:日本では古くから襖(ふすま)として親しまれてきた形状です。横に引くことで開閉します。
メリット:開閉時に場所を取りません。
半開きなどの開閉状態のコントロールがしやすいです。
デメリット:設置には130㎝~180㎝程度の幅の壁を必要とするため設置場所に制限が発生します。
照明スイッチ、コンセントが扉のすぐ横に着かない場合があります。
使える場所:玄関、部屋の出入り口、収納等
以外に知られていない種類:引き戸はさらに細かく分類すると”戸車タイプ””上吊りタイプ”に分類されます。戸車タイプは扉本体の下部にタイヤがついており、床面に
はそのタイヤが走るレールが必要になります。その反面上吊りタイプは扉本体を上部から吊っているため床のレールが不要です。
これにより床の仕上げがすっきりした見た目になり、例えば洗面脱衣室の出入口に上吊りタイプを採用すると見た目のすっきりさだけ
でなく、服の繊維質によるホコリが戸車に絡まるという不具合の発生も無いためお勧めです。
以下が最も基本的な扉の形状です。次に紹介する扉は①②をベースに考えられた様々な形状になります。
③両開き扉(観音開き扉)
どんな扉?:①の扉を左右対称に並べた扉です。名前の通り観音様を収める仏壇のように左右に開閉する扉です。
メリット: 開口を大きく取ることができるため、収納扉などに採用されます。
デメリット:開けた状態の扉が邪魔になります。
使える場所:収納等
④折れ戸
どんな扉?:①をベースに、開閉時に扉本体も折れ曲がるようにした扉です。
メリット:開口を大きく取ることができるため、収納扉などに採用されます。さらに③のデメリットである開けた状態での扉の邪魔さを軽減することができます。
デメリット:狭い部屋のクローゼット扉として使用すると、右図のようにベッドなどの家具に干渉する場合があります。
使える場所:クローゼット、大きな部屋を二分割するための間仕切り壁
⑤親子扉
どんな扉?:③の両開き戸のどちらか片一方の扉の幅を小さくした形状です。
メリット:高級感のある出入り口を演出する際などに採用される形状です。
ピアノなどの大型家具がある部屋では搬出入を容易にできます。
デメリット:開閉時には扉の軌跡上に物を置くことができません。
設置には120㎝程度の幅の壁を必要とするため設置場所に制限が発生します。
使える場所:玄関、部屋の出入り口(特にリビング)等
⑥アウトセット引き戸
どんな扉?:②と基本的には同じ形状なのですが、アウトセット引き戸は扉本体が壁よりも飛び出しています。
メリット:リフォームで後から扉をつけたい場合などに最適です。
デメリット:壁との隙間が広く、光が漏れたり、隙間から向こう側が覗けてしまう場合があります。
使える場所:玄関、部屋の出入り口、収納等
⑦引き違い戸
どんな扉?:②の引き戸を二枚並べた形状の扉です。いわゆる押入れの襖(ふすま)の形状です。和室への入り口などで採用されることが多い扉です。
メリット:開閉時に場所を取りません。
半開きなどの開閉状態のコントロールがしやすいです。
デメリット:二枚のうち左右どちらかのみの半分が開くため、全開口にはできません。
使える場所:玄関、部屋の出入り口、収納、クローゼット等
⑧引き分け戸
どんな扉?:⑦が左右どちらかしか開口できないのに対し、扉を壁側に引き込ませることで全開口可能を可能にした扉です。
メリット;全開口が可能です。
デメリット:開口の幅×2倍の壁が必要なため、設置可能場所が限られます。
照明スイッチ、コンセントが扉のすぐ横に着かない場合があります。
使える場所:部屋の出入り口等
⑨三枚引き、四枚引き戸
どんな扉?:⑧を更に更にアレンジし、扉を3枚、4枚と並べた形状です。商品によっては一枚の扉を動かせば、他の扉が連動して動き、簡単に開閉できる物もあります。L型に組み合わせれば図のように開放的な間仕切りを作ることができます。
デメリット:扉枚数が多いため、設置個所の壁厚が厚くなります。
使える場所;部屋の出入り口、大きな部屋の間仕切り壁、収納、クローゼット等
変わり種の扉
●3枚引き戸+開き戸のミックス扉
どんな扉?:車椅子の出入りを考えると片開き戸の間口では狭すぎる、引き違い扉では大きすぎる。そんな悩みを解決するのがこの扉です。開口有効幅が広いのですが扉本体が折れ畳まるように開閉されるため幅も取ることがありません。非常にお勧めな扉です。
ダイケン 引きドア→https://www.daiken.jp/product/detail/door/17100221.html
使える場所:トイレ、洗面脱衣室
●音配慮ドア
どんな扉?:家の間取り上、どうしてもトイレがリビングなどに近接してしまう場合。外部に漏れる音を軽減するために開発された扉です。トイレ以外でも書斎、楽器を演奏する部屋などでも利用可能です。
ダイケン 音配慮ドア→https://www.daiken.jp/product/detail/acoustic/17100233.html
●犬、猫用扉
どんな扉?:まさにペットのための扉です。メインの扉を開けることなくペットのみが出入りできる小さな扉です。
その他、扉の豆知識
●ハイドア
写真のような扉を天井近くまで背を高くした物を総省してハイドアと呼びます。
これは天井を高く見せる効果があると言われており、近年流行りを見せています。
背も高い分存在感もあるため、部屋のデザインの方向性を決定づけるのに重要な役割を果たすようになります。
また昨今、押入れやクローゼットでは”天袋”という概念がなくなってきており、代わりにこのハイドアを採用することで天井高さまでめいっぱいまでを一つの収納として活用することが多くなっております。その場合、内部の棚の区分けで天井近くのスペースも収納として有効活用するというのが主流となっています。
●ソフトクローザー
”引き戸”に採用されることが多いシステムで、扉本体が閉まりきる直前で自動的に減速し、ゆっくりと閉まっていく機構です。指はさみの防止や、騒音の軽減などの利点があります。
代表的な扉の形状は以上になります。間取りを検討される際に、お部屋の使い勝手をプラスアルファ良くするにあたりご参考になりましたら幸いです。これら形状に加えて扉表面のデザイン、取っ手もたくさんのバリエーションが存在しますので、組み合わせは膨大なものになります。もし扉の選定でお困りでしたら永和建業までお声かけください!